おかやまアーツフェスティバル2025
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みのしろう※2OKAYAMA ARTS FESTIVAL 2025 PICK UP 03撮影:小川知子(提供:国立劇場)文学の世界観に映像が寄り添い、美しいラストシーンがみどころ玉助 すごく面白い企画だと思いました。いつもの文楽との違いは背景が映像になっているということだけで、私たちは普段と同じように演じています。 私たちは舞台上で演じているので背景をみることが出来ないのですが、お客さまからは、全然違った印象を受けて好評というお話を聞いております。簑紫郎 最初は「アニメ」という言葉で少し心配しましたが、男鹿さんの映像は美術としてしっかりしていて、文楽の世界観に寄り添った綺麗なものだと思いました。玉助 「天神森の段」は、 特に最後の心中のシーンが美しく、演じていても身が引き締まる思いがします。簑紫郎  この場面は、昔も現代も変わらない恋愛観が描かれています。どうしようもない状況に追い込まれた二人が、最後は一緒になるために死んでいく様子が美しく仕上がっています。難しい恋愛ほど燃え上がるという普遍的なテーマがあります。文楽を初めて見る人へ玉助 お初という女性の人形は目が閉じる仕掛けがありますが、男性の徳兵衛に仕掛けはありません。顔の上げ下げで感情表現をします。世話物はポーズで演技を決める型が少なく、感情表現が難しいです。簑紫郎 今回は目をつぶる仕掛けはほとんど使いません。型がないので、わずかな傾きで表現する必要があります。非常に繊細な操作が必要です。文楽は入り口がわからないと思われがちですが、映画を見たり美術館に行くのと同じ感覚で簡単に見られることを知ってほしいです。SNSの意見に左右されず、自分の目で見て感じてほしいと思います。玉助 文楽は昔から庶民が楽しむお芝居なんです。私たちもより楽しいものを見せられるように頑張ります。難しく考えずに楽しんでください。「人形浄瑠璃」という伝統芸能の一つで、「太夫」「三味線」「人形」の三つの役割から物語を創り上げる人形劇。平成20年(2008)には、ユネスコにより「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載された。吉田玉助さん吉田簑紫郎さん岡山で6年ぶりの文楽※2公演は、名作『曾根崎心中』のクライマックス・「天神森の段」。当代人形遣いの第一人者で人間国宝の桐竹勘十郎さんによる映像監修のもと、「となりのトトロ」「もののけ姫」など数多くの名作アニメの美術監督を務めた男鹿和雄さんが背景美術の映像を制作しました。次世代スターとして注目を集める人形遣いの吉田玉助さん、吉田簑紫郎さんにお話しを聞きました。掲載しきれなかったインタビュー全文は、ハレノワHPや、10月1日発行の季刊誌「ハレノワ通信[WA] VOL.10」をぜひご覧ください。※公演情報はP.12をご覧ください。PICK UP -211月29日 (土)、30日 (日)BUNRAKU 1st SESSION曾根崎心中 天神森の段

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